poem 3



「最後の電話」


どうぞ受話器を置かないで
私達を繋ぐ最後の電話よ

冬の黒い波にのまれていく白い雪を
しばらく見ていたあの日
心のもつれを認めたくなくても
自然にほどけてゆく二人の手
「おしまいね」
軽くつぶやいた声が妙に響いた

もう少しこのままでいましょう
受話器を握る手に力をこめて
耳に強く押し当てる

やり直そうって言葉が
どんなに小さくても聞き逃さないように
そんな
かすかな望みがある限り







「哀しいくらい孤独」


熱っぽい体を引きずる様に
足取りも不確かにあなたを追う

明日のことなど分かりはしない
あなたの心など分かりはしない
それでも私は追い続ける

流れ続ける雲のように
夜空に輝く星のように
つかまえる事ができない
永遠の人だとわかっていても








「別離の朝に」


二人一緒にいるよりも
幸せだってこともあるのよ

冬の息遣いを肌で感じた朝に
決めた
二人のさよなら

去り際の挨拶は
「また どこかで会えるといいわね」

陽の差し込む東の窓を
そっと押し開けると
二人の時間が
光の速さで逃げていった







「真夜中の風にさらされて」


私が話す冗談めかしの恋愛論を
無言のままに聞いているあなたの背中が
今日はやけに広く見えてしまう

いつもなら何気ないこの景色も
秋から冬にかけて色移ろうのか
それがやけに物悲しく映ってしまう

お互い そう遠くない別離の時を
相手も気づかぬ筈がないと思い込むから
意味もなく気まずくなるのだけれど
昔は惜しんでいた過ぎゆく時間(とき)も
今では他愛ない話で取り繕う私がいる

持て余した時間の長さに改めて
二人の間にある大きな歪み(ひずみ)を感じながら
あなたの暗く翳る(かげる)横顔から目を背ける

あなたがどうしても
私から離れてゆくつもりなら
もうひきとめはしないけど
ただ 別れるのは 二人
さよならだけは告げずにいて
あるはずのない再会のときを
笑って約束しあえるほど
強くなってからでも遅くはない・・・

−そんなことを想ってみる
午前三時の風にさらされて







「私は」


幾人もの身近な死によって
苦しみを絶えて
寂しさを味わい
悲しみに打ちひしがれて

それでも私は生きてゆく

虚栄心を垣間見ながら
利己心を育みながら
華やかな逆転劇を夢見て







「雪の降る夜に」


曇った硝子窓を
手の甲で拭って
降ってくる綿雪の行方を目で追う

あなたは暖炉のすぐ傍で
今日で二度目の推理小説を読んでいる
二人の間の長い沈黙は気まずさじゃない

安らぎを
お互いの心に見出した今
二人の心はひとつになる







「忘れないでね」


私の心のすべてを
私の時間のすべてを
あなたは支配する

隙さえあれば忍び込む
疑惑の陰には振りまわされたくないのに
気づけば 電話の呼び出し音に
あなたを求める私がいる

あなたを思い出に変えることは
私の心が消えること
あなたを忘れることは
私の時間を失うことなの

あなたの前では素直になれない
そばにいて欲しいと口にできない
そんな私がいることを
どうか忘れないでいて







「萌葱の誘惑」


あなたの口から流れ出る
選ばれた言葉のニュアンスで
期待と不安の間を
せわしなく行き来している私を
あなたは楽しんでいる

今 別れたばかりのあなたの顔さえ
思い出せないくらいぼんやりしている

会うと流されそうで
会わなきゃ崩れそうな
こんな自分を持て余している

恋している自分を
認めたくないばかりに
気持ちの焦点を
移し変えたりしてみる

はかない抵抗ではあるけれど。







「あなたに好きだといわせたい」


情熱とプライドを秤にかけて
私から好きだといえたとしても
きっとうまくかわされる

意地を張り合う
あなたも 私も
手の内をさらけ出せるほど
素直になれない
優しくなれない

甘い恋への憧れは棄てる
あなたへの認識を改める
情熱とプライドを秤にかけたら
あなたに好きだといわせたい





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